秋の花粉症は何が原因?症状・対策を耳鼻科医が解説

秋になってから、くしゃみや透明な鼻水、鼻づまりが続いていませんか。「季節の変わり目だから」「また風邪をひいたのかな」と思っているうちに、実は秋の花粉症だった、というケースは少なくありません。
花粉症というと春のスギ・ヒノキを思い浮かべる方が多いと思いますが、花粉症は春だけの病気ではありません。秋にはブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどの花粉が原因となり、同じようにくしゃみ・鼻水・目のかゆみなどを引き起こします。風邪だと思い込んで様子を見ているうちに治療が遅れてしまうケースもあるため、正しく見分けることが大切です。
この記事では、秋の花粉症の原因植物、飛散時期、症状の特徴、風邪との見分け方、検査・治療方法、そして今日からできる予防・対策まで、耳鼻咽喉科医の視点から解説します。
秋の花粉症とは?春の花粉症との違い
秋の花粉症は、春の花粉症とは原因となる植物も、花粉の飛び方も異なります。まずは違いを整理してみましょう。
| 春の花粉症 | 秋の花粉症 | |
|---|---|---|
| 主な原因 | スギ・ヒノキ | ブタクサ・ヨモギ・カナムグラ |
| 主な飛散時期 | 2~5月頃 | 8~10月頃 |
| 植物の特徴 | 樹木 | 道端や河川敷に生える草本 |
| 花粉の飛散範囲 | 比較的広い範囲に飛ぶ | 原因植物の周辺を中心に飛散 |
スギやヒノキの花粉は樹木から遠くまで広範囲に飛散しますが、ブタクサやヨモギ、カナムグラなどの草本花粉は、スギ・ヒノキ花粉ほど遠くまでは飛びにくいという特徴があります。そのため、自宅の周辺や通勤・通学路、よく行く河川敷や公園、空き地などに原因植物が生えていないかを確認することが、症状の予防や原因の推測に役立ちます。
なお、飛散時期はあくまで目安であり、その年の気候や地域によって前後する点にも注意してください。
秋の花粉症を引き起こす主な植物
【ブタクサ】
キク科の植物で、秋の花粉症を代表する原因植物です。主な飛散時期は8〜10月頃で、道端、河川敷、空き地など、比較的身近な場所に生育しています。この花粉を吸い込むことで、鼻や目にアレルギー症状が現れます。
【ヨモギ】
ブタクサと同じキク科の植物です。飛散時期はブタクサと同様に8〜10月頃で、道端や土手など生活圏の近くに多く見られます。鼻炎症状だけでなく、体質によっては特定の食物を口にした際に口の中がかゆくなるなど、食物との交差反応がみられることがある点も知っておくとよいでしょう。
【カナムグラ】
アサ科のつる性植物で、こちらも飛散時期は8〜10月頃です。河川敷や空き地、道端などに生育していますが、つる性で繁殖力が強いため、都市部や住宅地の周辺でも原因となることがあります。
※いずれの植物も飛散時期は目安であり、地域やその年の気象条件によって変動します。
秋の花粉症にみられる症状
秋の花粉症では、次のような症状がみられます。
- 連続するくしゃみ
- 水のように透明でさらさらした鼻水
- 鼻づまり
- 鼻や喉のかゆみ
- 目のかゆみ、充血、涙
- 鼻水が喉に流れ込む後鼻漏
- 咳や喉の違和感
- 頭がぼんやりする、集中しにくい
- 睡眠の質の低下
秋の花粉症と風邪の見分け方
秋は気温の変化も大きく、風邪をひきやすい時期でもあります。症状が似ているため混同しやすいのですが、いくつかのポイントで見分けることができます。
| 症状 | 秋の花粉症 | 風邪 |
|---|---|---|
| 鼻水 | 透明でさらさら | 粘りが出ることがある |
| くしゃみ | 連続して出やすい | 出ることはある |
| 鼻・目のかゆみ | 起こりやすい | 比較的少ない |
| 発熱 | 通常はみられない | みられることがある |
| のどの痛み | かゆみや違和感が中心 | 痛みを伴うことがある |
| 症状の続き方 | 花粉が触れるたびに反復する | 数日かけて変化することが多い |
ただし、これらはあくまで目安であり、症状だけで完全に判断することはできません。アレルギー性鼻炎と感染症が同時に起こることもあります。発熱、強い倦怠感、黄色や緑色の鼻水、顔の痛みなどを伴う場合は、花粉症以外の疾患の可能性も考えられますので、自己判断せず医療機関にご相談ください。
秋の花粉症の治療方法
秋の花粉症の治療には、主に以下のような薬が用いられます。
- 第二世代抗ヒスタミン薬
- 鼻噴霧用ステロイド薬
- 抗ロイコトリエン薬 など
- 点眼薬
鼻づまり、鼻水、くしゃみなど、症状のタイプや重症度によって薬の組み合わせは異なります。また、眠気の有無、運転や仕事への影響、年齢、妊娠・授乳中かどうか、持病の有無なども考慮したうえで、お一人おひとりに合った治療を選択します。
症状が出る前・軽いうちの治療が重要
毎年同じ時期に同じような症状が出る方は、花粉の飛散が始まる前や、症状がまだ軽いうちに一度ご相談ください。症状が強くなってから治療を始めるよりも、早めに治療を開始することで、シーズン中の症状を抑えやすくなる場合があります。
市販薬で様子を見ること自体は問題ありませんが、症状が続く場合や薬が体に合わないと感じる場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。
<秋の花粉症対策>
外出時の対策
- マスクや眼鏡を着用する
- 河川敷、空き地、草むらなど原因植物が多い場所に近づきすぎない
- 晴れて風の強い日は花粉が飛びやすいため特に注意する
- 草刈りや庭仕事をする際は、マスク・眼鏡・長袖を着用する
帰宅後・室内での対策
- 玄関に入る前に衣服についた花粉を払い落とす
- 帰宅後は手洗い・洗顔・うがいをする
- 洗濯物や布団を外に干す際は工夫する(部屋干しや花粉の少ない時間帯を選ぶなど)
- 窓を長時間開けたままにしない
- こまめに掃除をする
花粉が飛んでいる時期に草むしりをすると、大量の花粉に触れてしまう可能性があります。作業をする場合は、素手で触らず、マスク・眼鏡・手袋を必ず着用してください。症状が強く出ている方は、無理に作業を行わないことをおすすめします。また、自治体が管理している河川敷や公園などでは、無断で除草を行わないよう注意しましょう。
秋の鼻炎は花粉以外が原因のこともあります
秋に鼻の症状が出たからといって、必ずしも花粉症とは限りません。次のような原因も考えられます。
- ダニ・ハウスダストによる通年性アレルギー性鼻炎
- 気温差などによる非アレルギー性鼻炎
- 風邪などの感染症
- 副鼻腔炎
「秋だからブタクサが原因」と決めつけず、症状が続く場合は診察・検査を受けて原因を確認することが大切です。
耳鼻咽喉科を受診した方がよい目安
以下のような場合は、一度耳鼻咽喉科への受診をご検討ください。
- 鼻水や鼻づまりが1〜2週間以上続いている
- 市販薬を使っても症状が改善しない
- 鼻づまりで夜眠れない
- 咳や後鼻漏が続いている
- 症状が気になって学校や仕事に集中できない
- 毎年同じ時期に同じような症状が出る
- 原因となっている花粉を調べたい
- 黄色い鼻水、顔面の痛み、嗅覚の低下などがある
まとめ
- 秋の花粉症の主な原因は、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどの草本花粉
- 飛散時期の目安は8〜10月頃だが、地域や気象条件によって異なる
- 透明でさらさらした鼻水、連続するくしゃみ、鼻や目のかゆみが特徴的な症状
- 秋の時期はダニによる通年性鼻炎、風邪、副鼻腔炎などとの見分けも必要
- 症状が続く場合は、原因を自己判断せず耳鼻咽喉科で相談することが大切